35周年を迎えるにあたり、私たちはこのロゴをあらためて見つめ直しています。それは単なるデザインの話ではなく、テサがどのような姿勢で製品や技術に向き合ってきたかを振り返る機会でもあります。
テサのロゴが35年間変わっていない理由
ヒストリー
多くのブランドが時代に合わせてロゴを刷新するなか、テサのロゴは1990年から35年間変更されることなく使われてきました
変わらない理由のあるデザイン
テサのロゴは、視認性と使いやすさを重視して設計されています。テサブルー、レッド、ホワイトとビビッドな配色と、ライナーを剥がす様子を示した「ピールオフコーナー」が目を引きます。製品パッケージやデジタル媒体など、さまざまな場面で一貫した見え方を保てるよう工夫されています。
グローバル・コミュニケーション責任者のトーステン・シュペアリッヒは次のように説明します。
「ピールオフコーナーは装飾的な要素ではなく、粘着テープという製品特性を視覚的に表したものです。シンプルな構成にすることで、用途や媒体が変わっても認識しやすいデザインになっています。」
色と構成に込めた考え方
ロゴに使われている色や構成は、長期的な使用を前提に選ばれています。
- 鮮やかなレッド (Pantone 485): エネルギーと信頼性を感じさせる色。見る人の注意を引きつけると同時に、テサ製品の強さと耐久性を想起させます。
- テサブルー (Pantone 299): 信頼性、品質、プロフェッショナリズムを象徴する色。長年にわたりテサの製品を支えてきた価値観を表しています。
- クリスプホワイト: 単なる背景ではなく、余白としての役割を果たし、視認性を高めるとともに、製品性能における明確さと純粋さを表現しています。
使い続けることを前提とした設計
ロゴの構造には、さまざまな使用環境を想定した工夫があります。
- 象徴的な「ピールオフコーナー」: テサの中核製品である粘着テープを直感的に想起させる、機能的なデザイン要素です。
- タイトな文字間隔: 文字同士の距離は精密に設計され、一体感のある安定したロゴとして機能します。
- 前進を感じさせる傾き: わずかに前傾した文字は進化と前進を象徴し、テサの革新性と未来志向を表しています。
- 幾何学的な精度: すべての曲線、角度、ラインは厳密な幾何学原則に基づいて設計され、あらゆるサイズ・用途で一貫性を保ちます。
美しさを支える設計の考え方
テサのロゴは感覚的なデザインではなく、一定の設計原則に基づいて構成されています。
- 黄金比: ロゴ全体の高さや幅、各要素の配置バランスには、いわゆる黄金比(約1:1.618)に近い比率を取り入れ、視覚的に安定した印象を与えるよう設計されています。
- 書体:ロゴに使用されているサンセリフ体の書体は、ミッドセンチュリー期のデザイン思想をベースにしています。モダンすぎず、かといって古さも感じさせないバランスを意識することで、特定のデザイントレンドに左右されにくい表現となっています。
シンプルさがもたらす実用性
テサのロゴは、意図的に要素を絞り込んだ構成になっています。目立たせるためではなく、使用環境やサイズ、媒体が変わっても安定して機能することを重視した結果です。
一見すると控えめなデザインに見えるかもしれませんが、その背景には、不要な装飾を省き、必要な情報だけを残すという設計上の判断があります。これにより、製品パッケージのような限られたスペースでも、企業サインやデジタル表示のような大きなスケールでも、同じ印象で認識されます。
また、言語や文化による解釈の違いを受けにくい構成であるため、地域ごとにデザインを調整する必要がありません。その結果、世界各地で一貫したビジュアルとして使い続けることが可能になっています。
tesaのロゴにおける「シンプルさ」は、表現のための手法というより、長く、無理なく使い続けるための実務的な選択と言えます。
世代をつなぐデザイン
この35年間、tesaロゴは変化の激しいビジネス環境の中で一貫した存在であり続けてきました。頻繁にブランド刷新を行う企業が多い中、tesaのロゴは認知と信頼を積み重ね、顧客、パートナー、社員にとっての“視覚的な拠り所”となっています。
この一貫性は、単なる美しさの問題ではありません。品質と信頼性への揺るぎない姿勢を示す、戦略的な選択です。
tesaロゴは、125年以上にわたり受け継がれてきた価値観を映し出す存在であり、継続的なイノベーションと信頼性を象徴する“品質の証”でもあります。
それは過去を映す鏡ではなく、未来への基盤。これからもtesaのイノベーション、サステナビリティ、そして粘着技術の卓越性を体現し続けていきます。