粘着テープの性能はタック・凝集力・粘着力の相互作用で決まります。

ハチミツは粘着剤の代わりに使える?
ポイントは「凝集力」!

粘着剤の性質として欠かすことのできないタック・粘着力・凝集力。どれか1つでも欠けてしまうと粘着剤として機能しません。それぞれの性質について詳しくご説明します。



ハチミツを粘着剤の代わりに使って写真を貼りつけることはできるでしょうか?答えはイエスです。どろどろのハチミツを使うと写真などをくっつけることができます。指についたハチミツを拭きとろうとしても、紙ナプキンなどの軽いものは簡単にくっついてしまうでしょう。たしかに「くっつき」はするのですが、我々専門家に言わせればそれは「接着」ではありません。ハチミツには粘着剤(感圧接着剤)として必要不可欠である3つの要素のうち、ある要素が欠けているからです。

タック(べたつき)とは

ハチミツはタック(べたつき)が高く、指で触るとベタベタします。
ハチミツはタック(べたつき)が高く、指で触るとベタベタします。

感圧接着剤(粘着剤)は、タック・凝集力・粘着力という3つの性質による相互作用で成り立っています。タック(Tack)とは粘着テープの粘着面を指で触ったときに感じる「べたつき」を指します。粘着剤が被着体の表面に触れた瞬間に発揮される性質です。タックはどれだけ素早く被着体の表面に食いつくのかを示すものです。

タックの高い粘着剤だと、貼りつけ時にかける圧力が最小限でよく、かつ触れる時間が短くてもしっかり接着することができます。

特に製紙・印刷業界では生産・加工の工程で紙やフィルムなどをつなぐ用途があり、タックの高さが非常に重要な役割を果たします。分速1.9kmもの高速で稼働している工程があり、生産効率を落とさないよう可能な限り減速せず紙やフィルム原反(ロール)を粘着テープでつなぐことで紙やフィルムを供給する必要があります。このような工程中のつなぎ用途では、一瞬で確実に接着する高い性能が求められます。

ハチミツを手で触ってみると分かる通り、かなりベタベタします。そのため、ハチミツはタックが高いと言うことができます。

タックについて(まとめ)

  • 最初に被着体へ接触した際の濡れやすさを示す指標
  • 最小限の圧力・時間でしっかり接着できる
  • ​タックが高いと、粗面への接着に有利
  • 一般的に指触タックが用いられるが、粘着テープの物性を記述するには不向き
  • 温度の影響を受けやすい
  • 混同されやすいが、粘着力とは全く異なる特性

​→タックに関する詳細や、測定・評価方法についてはこちら

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粘着力とは

粘着テープは高い接着強度を長期間維持することができます。素材の異なる部材の貼り合わせも得意です。
接着力とは、表面に接着する力です。 凝集性は外的な圧力に耐える接着剤内部の力です。

感圧接着剤(粘着剤)たらしめる性質の2つ目は粘着力です。粘着力(Adehision)はもともとラテン語で「くっつくこと」という意味ですが、粘着力の正確な定義は次の通りです。

粘着力とは、ふたつの物質がお互いに物理的に引きよせ合う力、あるいは結合しようとする力であり、とりわけ異なる物体がそれぞれ引きよせ合うさまを肉眼で確認できることである。

 粘着テープを貼りつけると、粘着剤と被着体の表面の間に粘着力が生じます。高い粘着力を持つ粘着剤は、文字通り被着体の表面に強力に接着します。この定義に基づけば、しっかりとくっつけることができるハチミツも高い粘着力があると言うことができます。

粘着力まとめ:

  • 粘着剤と被着体の結合力(くっついていようとする力)
  • 粘着剤、被着体、圧着力、放置時間、外部環境など、様々な要因の影響を受ける
  • 粘着テープの代表的な性質だが、必ずしも全ての用途で重要とは言えない
  • 接触界面に垂直な圧力で上昇する
  • 貼りつけ直後から、濡れが進むにつれ徐々に粘着力が上がる(一定の粘着力に到達するまで)
  • タック(べたつき)とは別の性質
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凝集力とは

3つ目の要素は、凝集力です。凝集力(Cohesion)は、もともとラテン語で接続・結合という意味です。ここでは凝集力とは粘着剤の内部の結合力を指します。粘着剤が自分の形を保とうとする力です。ちぎれず粘着剤の形を保っていられるかという性質は基材に必要とされるものと思われがちですが、この凝集力が欠けていると粘着剤として機能しません。また凝集力は上述の粘着力とも深く関係しており、凝集力が高くなると粘着力が高くなります。

凝集力は、粘着テープで重量のあるものを貼りつける場合などで重要な役割を果たします。粘着剤を形成する分子がお互いに強力に結合していなければ、重さに耐えることができず粘着剤の形が崩れてしまいます。

ハチミツにはこの凝集力がほとんどありません。ハチミツはどろどろの液状で、自分自身の形状を保つことができません。ハチミツには内部の結合力、すなわち凝集力が欠けています。そのため、ハチミツを粘着剤のように使って写真を貼りつけたとしても、写真を持ち上げれば簡単にとれてしまいます。どんなにタックと粘着力が強くても、凝集力がなければ粘着剤として成り立たないのです。

凝集力まとめ:

  • 粘着剤の内部の力(結合力)
  • 貼りつけ面に平行な力がかかる場合は、現実的な指標となる
  • 一般的に、凝集力が高いと保持力が強く、耐熱性が高く、打ち抜き加工がしやすく、タックが低くなる

​→感圧接着剤(PSA)について詳しく見る
→デザイン性、作業性、耐久性に優れた超強力粘着テープの主な用途をご紹介

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タック・粘着力・凝集力のバランスについて

「タック」「凝集力」「粘着力」のどれが欠けても粘着剤にはなりません。用途に合わせたバランスも重要です。

「タック」「凝集力」「粘着力」のどれが欠けても粘着剤にはなりません。用途に合わせたバランスも重要です。

1. 仮固定

永久固定ではなくある一定期間だけ貼りつけを行いたいときや、塗装などを行った後に粘着テープをはがす用途のことを「仮固定」と言います。この用途では、上図でタック(T)と凝集力(C)が結ぶ ①の部分が重要になるため、用途に応じて粘着剤の配合を調整します。粘着力(A)側はさほど重要ではなく、タックと凝集力のバランスが要求されます。タックは軽い力で瞬時に粘着できること、凝集力は粘着剤を表面に残さず(のり残りなく)剥離を実現するために重要な要素です。仮固定という用途においては、この特徴が粘着力の高さよりも重視されます。

  • 一時的な固定/仮固定
  • 一時的な表面保護
  • 繊細な表面への優れた接着力
  • のり残りしない剥離
  • マスキング
  • パッチング
  • 被着面の表面状態を変化させない

→仮固定用ストラッピングテープ(片面粘着テープ)の製品情報を見る

2. 恒久的な接着(長期接着)

この用途では、上図の凝集力(C)と粘着力(A)が結ぶ ②の部分が重要になります。特に重要なのは接着力を持続することで、瞬時に接着できる力は優先度が低いことが多いです。つまり、タックはそれほど重要ではないということになります。

  • 永久固定
  • 優れた耐老化性と持続性
  • 粗面と滑らかな表面の両方に対応
  • シーリング

→固定・取り付け用途で製品を探す

3. 瞬時の接着

短時間で接着をする用途では、上図のタック(T)と粘着力(A)が結ぶ ③の部分が重要です。重要なのは、スピーディーかつ強力に接着することです。この用途では接着対象が軽く、はがす際ののり残りを考慮する必要のないことが多いため、凝集力は優先度が低くなります。

  • 瞬時の接着
  • ​常に大きな荷重が掛からない用途​

→紙やフィルム原反のつなぎ(スプライス)テープの製品を探す
→高い接着力を誇る粘着テープ tesa® ACXplus シリーズの製品情報を見る

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