The image shows a vehicle underbody on an assembly line. The car body is held horizontally by large yellow robotic arms in a factory setting, revealing details of the chassis and structural components. Any references to tape in this context would involve tesa tape for securing or managing components efficiently during assembly.

プラグから粘着テープへ – ポルシェとの共同開発

マーケット・業界

世界的なブランド同士のコラボレーションは、もはや珍しいことではありません。しかし、ポルシェが電動スポーツカー「ポルシェ・タイカン」の製造において、テスラではなくテサと協力すると発表したことは、自動車業界で驚きをもって受け止められました。自動車用に開発されたホールカバーテープをロボットが自動で貼っていく画期的なプロジェクトです。

ポルシェの本社工場があるシュトゥットガルト・ツッフェンハウゼンでは、同社のフラッグシップモデルが生産されており、その技術力の高さは世界的に評価されています。そんなポルシェが、テサと共同で革新的な生産プロセスを開発したと発表した際、一部の自動車専門誌の記者は驚きを隠せませんでした。

「これからのポルシェのスポーツカーは、まさか粘着テープで組み立てられるのか?」そんな見出しが、2021年4月中旬に発表されたニュースとともに業界専門誌や一般メディアをにぎわせました。

その答えは「Yes」―― ただし、使われるのは家庭用の透明テープではなく、自動車専用に開発された高性能なホールカバーテープです。

年間100億か所の穴が塞がれています

自動車の車体には大小さまざまな穴が設けられており、1台当たり最大で220個にもなるといわれています。これらの穴は、電着塗装工程での液抜きや各種部位へのアクセスなど、さまざまな目的で使用されます。最終的に腐食を防ぐためしっかり密閉する必要があります。世界中で累計すると、毎年100億か所以上の穴がプラグや粘着テープで塞がれている計算になります。

現在でも、多くの自動車メーカーではプラスチックやゴム製のプラグを手作業で一つひとつはめ込む方法が採用されています。しかし、この方法は時間と労力を要する上、作業者によって個人差が生じやすく、作業の再現性が低いという課題があります。

そこでポルシェが採用したのが、テサのホールカバーテープ (opens in a new window or tab)です。ロボットを用いた自動貼りが可能で、短時間かつ高精度に穴塞ぎを行うことができます。

テサの粘着パッドは、ロボットによって素早く確実に位置決めされます。この技術革新が起こる以前は、穴塞ぎは手作業で行わなければならず、時間と労力のかかる作業でした。(© tesa SE)
ロボットがテサのホールカバーテープを素早く確実に貼りつけていきます
樹脂プラグの代替材料として:粘着テープメーカー「テサ」のホールカバーテープをロボットが素早く確実に貼りつけます。(© Porsche AG / tesa SE)
樹脂プラグの代替材料として:粘着テープメーカー「テサ」のホールカバーテープをロボットが素早く確実に貼りつけます。(© Porsche AG / tesa SE)

エンジニアとの緊密な連携

ポルシェAGは、長年のサプライヤーであるテサと協力し、シュトゥットガルト・ツッフェンハウゼン本社で革新的なロボット活用型の生産プロセスを開発しました。この完全電動モデルであるポルシェ・タイカンは、世界で初めてこの自動化技術を採用した車両であり、穴塞ぎ工程の最適化を通じて、ひいては車両生産全体の効率向上に貢献しています。

「イノベーションこそが、私たちの経済的成功を支える原動力です。」そう語るのは、ポルシェAGの生産・物流担当取締役 アルブレヒト・ライモルト氏です。「新たなイノベーションを確立するには、高い技術力と自由な発想、そして挑戦する勇気が必要です。」ポルシェAGは、2021年夏までにライプツィヒ工場の塗装ラインにも、この新しい自動化コンセプトを導入予定です。

車両火災時に防火扉のような役割を担う粘着テープ

従来のプラグと比較してテサのホールカバーテープにはさまざまな利点があります。プラグは穴のサイズにぴったり合ったものを用意する必要がありますが、ホールカバーテープであれば、ひとつの大きさのテープで大小異なるサイズの穴にも対応できます。これにより、部品点数の削減や工程の簡素化、作業時間の短縮が図れます。スタンダード品である tesa® PunctureGuard(パンクチュアーガード/耐突き抜け性)は、優れた密封性による防錆効果に加え、頑丈な基材によって一定の防音性能も発揮します。

テサのホールカバーテープは、厚さ約1mmと非常に薄型でありながら優れた耐久性を発揮し、車両のライフサイクル全体にわたって封止材として機能します。樹脂プラグ(約6mm)と比較して大幅な軽量化が可能であり、軽量化が求められる電動車両においても有効です。特にtesa® FireGuard(ファイアーガード/難燃性) は、EVバッテリーの「バッテリーフットプリント」向けに開発された特殊製品で、最大500℃の炎に6分間耐える性能を備えています。万が一バッテリー火災が発生した場合でも、車室内への延焼を遅らせることで、乗員が安全に避難するための時間を確保できます。車両火災時に防火扉のような役割を果たす粘着テープとして、車両安全性のさらなる向上に貢献します。

25,000 kg

1シフトあたり、作業員が車体に約3,500個の従来型プラスチック製プラグを手で押し込むことで、合計約25,000kgの力を親指にかけていることになります。これは非常に大きな身体的負担となります。

ロボットによる自動貼りで材料選択の柔軟性とスピードを両立

「テサのノウハウを活かして開発した自動貼りユニットの tesa® EfficienSeal(エフィシエンシール)は、穴塞ぎ工程において期待される品質を確実に実現します。」そう語るのは、テサ ドイツ本社の自動車事業部責任者 ダビッド・キャロ氏です。

この革新的な自動化技術の導入により、自動車業界のお客様は、車種や穴の位置・数に応じた材料選択の自由度が向上するメリットを得られます。ロボットが必要に応じて貼り付けヘッドを素早く切り替えることで、適したホールカバーテープを貼り分けることができるためです。

車体はまるで穴だらけのチーズのよう?

自動車メーカーの組み立てラインに並ぶ車体には、大小さまざまな穴が設けられています。車のモデルによっては200か所以上になることもあります。なぜこのような構造になっているのでしょうか?

部品を取り付ける工程で使用される作業用の穴や、輸送時に必要な穴も一部存在しますが、多くの穴は電着塗装(ディッピング)工程で使用されるものです。塗料が隅々まで行き渡り、余分な塗料が流れ落ちるようにすることで、車体全体に均一な防錆処理が施されます。

しかし、完成後にこれらの穴が塞がれていなければ、湿気や汚れの侵入、さらには空気の流入によってノイズが発生する原因となってしまいます。そのため、最終的にはすべての穴を適切に塞ぐ必要があるのです。