ロール

50年前に製造された粘着テープも、いまだ現役!

ヒストリー

50年以上前に製造され、ずっと保管されていたテサの製品が見つかりました。最新技術を駆使した分析で、現在も新品同様の性能であることが確認されました。

著者 Gunnar von der Geest

50年間たっても機能する製品は、あまり多くありません。テレビやコーヒーメーカーで想像してみてください。家電ゴミとして、すでに廃棄されているでしょう。シャツやズボンはどうでしょうか?50年間もたてば時代遅れになってしまいますし、きっと破れたり色が落ちてしまって着られなくなっているでしょう。では、パソコンは?50年前は、家庭用のコンピュータはほとんど普及していませんでした。

「古いものほど良い」という法則が当てはまるのは、赤ワインくらいかもしれません。では、粘着テープの場合はどうでしょうか?

ドイツ・ノルダーシュテットにあるテサの研究開発センターでは、50年以上前に製造された自社製品を最新技術を用いて性能試験を実施しました。いまも現役として通用する、素晴らしい結果が見られたのです。

きっかけは2004年のサプライズギフト

2004年のとある日、ドイツ本社の接着システム部門へ小さな箱が届きました。当時、製品開発を担当していたPetra Lohmannが受け取って中身を確認すると、幅31cm・100m巻きのtesafix®(テサフィックス)960という自社製品が入っていました。当時のパッケージのまま未開封の状態だったのです。送り主は、1993年までドイツ・ザクソニー州にあるベルクアカデミーフライブルク工科大学の教授として教鞭をとっていたDr. Manfred Engshuber博士でした。御年88歳の博士が片付けをされているとき、偶然この未開封のテープを発見しテサへ送ってくださったのです。

当時テサはバイヤスドルフグループの一部門だったことを踏まえ、アーカイブを調べたところ、tesafix®(両面粘着テープのブランド名)が販売開始したのは、1956年でした。バイヤスドルフのコーポレート&ブランドヒストリーのマネージャーであるDaniel Wallburgさんによると、博士からお送りいただいた粘着テープはパッケージのロゴマークや記載されている内容から、1968年~1976年の間に製造・販売されたものであると分かりました。

ポスター-tesafix2
半世紀ほど前の技術で製造された製品でしたが、粘着テープの厚さや重量は当時の想定通りで、誤差はほとんどありませんでした。
Dr. Steffi Naasz

tesa SE 研究開発・サービスプロセス部門長

ポスター-tesafix-2

当時の売り文句に偽りなし!

年代物のテープを受けとったLohmannさんは、当時の資料を参考に、その仕様に適合する性能を維持しているのかを確認する試験を実施しました。その時の結果を、次のように語っています。

長期間たった製品であるにも関わらず、粘着力に関する性能はかなり良い評価が得られました。スチール素材に対する性能は少し落ちていましたが、一般的なプラスチック素材に対する性能は当時の仕様に即した結果になりました。

さらに15年が経過した2020年、様々な性能を評価する大規模な検査を実施しました。

このプロジェクトでは、現在の粘着テープと同様の試験(粘着強さ、引張強度、動的・静的せん断試験など)を実施して定量的に性能を評価しました。研究開発・サービスプロセス部門の責任者であるDr. Steffi Naasz博士は、結果に驚いたといいます。

「半世紀ほど前の技術で製造された製品でしたが、粘着テープの厚さや重量は当時の想定通りで、誤差はほとんどありませんでした。引張強度においては当時と同じ結果になり、粘着性能においても誤差の範囲内でした。このまま販売してもいいくらいの性能です。当時の売り文句に偽りなしですね。」

tesafix

tesafix®

そんな驚くべき性能を発揮した tesafix®ですが、素早く最大強度に達する接着スピードの早さと使いやすさが人気で、現在も販売しているロングラン商品です。カタログなどでよく使われる「素早くしっかり接着でき、部品の接着や組み立て時間を短縮できます」というフレーズは、当時からほとんど変わっていません。

tesafix®シリーズを代表する「tesafix® 960」は薄い不織布の繊維を基材に採用し、太陽光など経年劣化による影響の少ないアクリル系の粘着剤を塗布した製品でした。当時からドリルガイド(位置決め用の金属プレート)の固定や、展示会ブースの飾りつけなど様々な用途に適していると宣伝されていました。

柔らかい粘着剤でタック(接着面の食いつきの良さに関係する性質)に優れるため、多孔質や粗面への接着に適していることや、様々な部品の取り付け、固定に効果的だと証明されているという製品説明がされています。

その使い勝手の良さから、「ハサミで切れる接着剤」という謳い文句で販売をおこなっていた記録があるほどです。今でも当時のtesafix®と同じ配合の両面粘着テープ製品が製造・販売されています。店舗などの床にカーペットを固定する用途などで、ひそかに活躍をし続けています。